先輩の彼女

間野さんが去ると、谷岡君が笑顔で振り返った。

「さあ。どこに行きますか?」

さっきまでの谷岡君とは、うって変わって好青年。

「ああ……谷岡君は美味しいモノ食べたいよね。私、美味しい食堂知ってるんだ。」

私は、向こうを指差しながら、先に歩き始めた。

「酷いなぁ。僕、もうお酒飲めますよ。」

「えっ?」

谷岡君を見ると、ニヤッとしながら、私の隣に来る。

「デートなんだから、美味しいお酒でも飲みながら、語らいましょうって。」

私の腕を掴まえ、谷岡君はドンドン先に行く。

「待って!」

ストップをかけてると、案外あっさり谷岡君は、止まってくれた。

「私、そんなお洒落なお店、知らないんだけど。」

「大丈夫。僕、知ってますから。」

またニヤリと笑う谷岡君は、天使なのか悪魔なのか。

「行きましょう。」

「うん……」

そして私は、谷岡君と一緒に、彼セレクトのお店へと向かった。