「抜き打ち検査はさせてもらう。」
「はあ!?抜き打ち検査だあ!?」
「お兄ちゃん!」
真っ先に反応したのは速水の方。
神城の方は微動(びどう)だにせず、私の方を見ている。
たぶん、話を聞く姿勢でいてくれてるのだと思う。
その前提で、言葉を選びながら話す。
「そんなほえないでくれよ、速水君。神城さんの言い分もわかるが、俺らにも見物するぐらいの権利はあるぜ?ここらは、俺の縄張りだからな。もっとも、お手並み拝見ってのが本心だ。」
「嫌だと言ったら?」
「あきらめる。」
即答すれば、真顔だった神城がくすっと笑った。
「つまり、のぞき見かい?」
「大正解。」
「テメー!おちょくってんのかっ!?」
「だからお兄ちゃん、落ち着いてよ!」
速水の方は見るからに、受け入れる気配0の反応。
(神城さんは、頭の方はどう出るか・・・!?)
緊張を隠しながら見つめていれば、ふっと私を見るまなざしが優しくなった。
「わかったよ、4代目さん。」
ふふ、と笑うと、肩をすくめながら言った。
「ここは、あんたの、龍星軍の縄張りだ。抜き打ち検査に従うぜ。」
「平和的解決、ありがとうございます。」
「どういたしまして。なんなら、LINEの交換でもするか?」
「お気遣いだけでいいよ。交換とか、ガラじゃないだろう?」
「はは!ちげーねぇー」
(えーと、こんなまとめかたでいいかな・・・?)
そんな思いで瑞希お兄ちゃんを見れば、私の目を見ながら首を縦に動かして下さった。
(よかった~なんとか話がまとまったぁ~)
「それじゃあ、失礼するぜ、四代目さん。」
「ええ、気を付けて。」
そのまま解散の流れになったのだが――――――
「待って、凛道さん!」
「亜都子!?」
兄の側にいた妹が、私へと飛びついて来た。


