「はは、寒そ」 彼は笑った。その息も白い。 やっぱり、キライだ。何度も何度もスキを知ってしまう。そのたびに言ってしまいたくなる。言ってしまいそうになる。 『ダ イ ス キ』 口パクで天邪鬼を唱える。天邪鬼ということにして、聞こえないようにと、声にはのせず。 「……スキだよ、しゅーな?」 首を傾げながらにこやかに言われて、涙が零れた。本当に、どうしよう。どうしたらいいかな。スキだよ。 笑いながら洩れた彼の白い息に、口パクが凍らされてしまう。 凍って、かたちとなって、表れてしまった。