蝶の親指。弦音は鳴る。

『今日は、特別に射場のなかで夢を引いているところを見てください!』

明るく頬が色づいた可愛い人だった。

きっと2年生なんだろうか。

一立六人が行射で、第一射場と第二射場にそれぞれ分かれて行う。

第一射場の大前がゆっくりと弓を打起す。

そこからの動作ひとつひとつ美しく、

中るまでの瞬間、私は呼吸するのさへも忘れてしまっていた。

私もやりたい。

私も弓を引きたい。

心からそうおもった。

「「私、弓道したい」」

とっさに出た言葉

隣から聞こえてきた言葉

一緒に中る音と重なった。

「私たちさっきとおんなじだね」

「だね」

また笑いながら、先輩方の射を見つめる。

「一緒にやろっか弓道」

「うん!!」