慣れない制服を見にまとい、

受験と同じような緊張感をもって門をくぐる。

あのときとは違う。

私、ここの生徒になれたんだ。

そんなことを思いながら、私がこれから過ごす人達が壁を隔てて向こうにいることを

強く感じながら、がらっと扉を開ける。

静かに凍りついたような空気感に、

私は息をのんだ。

まるで誰もいないような、ペンが落ちるだけで音が響くくらいの静けさだった。

指定された席についてもなんだか、

肩身が狭く、締め付けられたような雰囲気だ。

配られた名簿表をみて、

私はふと一人の名前に、目がいった。

【齋藤 葵】

この子は確か、同じ中学だった子で、

クラスは一緒じゃなかったけれど、

知っている。

聞いた話だと、とても心が広いとか天使とか言われているみたい。

同じ中学の人がいるだけで、私は強く安心した。

そう、ボッチになるのが怖かったのだ。