5月のゴールデンウイークが明け、身体が高校2年生という事実に慣れてきた頃。
「あははっ!そしたらちさきママ、塩じゃなくてお砂糖入れちゃったの?」
「そうっ!もうびっくりしたよ、テレビ見ながらやるからだよーって言ってさぁ…」
ホームルームが終わった下校時間、沙絵ちゃんと一緒に階段を下りながら談笑を楽しむ。
わたしはこれから部活だから第2体育館、沙絵ちゃんはアルバイトへ向かうため下駄箱へ。一緒に歩けるのがほんのわずかな時間でも話が弾むくらい、彼女とは本当に仲良くさせてもらっている。
今は先日起きたお母さんの失敗談を話していたところだ。…お母さん本人は内緒だけど。
「じゃ、部活がんばってねー!」
「うん!沙絵ちゃんもバイト頑張って!」
沙絵ちゃんに手を振ったのち、わたしの足は下駄箱を通り過ぎた。