そんな日がしばらく続き、勝負の春高予選まであと1か月となった日。



「みんなに話があるんだ」



練習が終わり、監督から解散の声がかかって

各自着替えに行こうと一歩を踏み出した時だった。



青葉先輩が、話があると全員の足を止めたのだ。



――…それを知っていたのだろう、監督が青葉先輩に前に来るよう促したところで

誰からともなく座ると、彼の話を待った。




「俺は、春高予選までに選手としての復帰は絶対に間に合わない。可能性が低いとかの話ではなく、ここまで来たら100パーセント無理だと。今日の診察で先生から正式に言われた」

「「っ!!」」

「……。清々しいくらいに言い切られてきた。…日常生活がやっとって言われてたのに、こうやって帰ってこられてボールに触れる環境にいる。立花の人間として、みんなと一緒に全国を目指せている。怪我した時には考えられなかった奇跡みたいな現状を、みんなのおかげで作ることが出来た」