「終わったら迎えに来るから、電話してくれな」
「うん、ありがとう」
その日。
部活を終え学校を出ようとしたら、監督が駐車場で待っててくれていた。
わざわざ病院まで車を出し、終わったら迎えに来てくれるという。…自分で帰るよと言ったらわりと本気で怒られたのですぐさま口をつぐんだ。
そして、「俺にできることはこれくらいしかないから、頼むぞ」と続けて微笑んでいた。
「あ、ちさきさーん!こっち!」
「あやめさんっ!こんばんは!」
駅のすぐ近くにある、青葉先輩が入院している病院。
あやめさんと駅で待ち合わせをして一緒に歩く。…わたしにもお姉ちゃんがいたらこんな感じなのかなと、なんだか嬉しくなってしまった。
早鐘を打つ鼓動を噛み殺しながら、一歩一歩を踏み出すように歩いた。