バレーボールというスポーツは、個人競技ではない。



「チャンスボールッ!隼人っ」

「隼人さん!」

「オーライオーライ!!」

「「「セッターッ!!」」」



体育館中に響く男子特有の声が何重にも織り重なる。

コートの中で翔ける6人ずつの選手が、ひたすらにひとつのボールを追いかけて。



放物線を描いてコートに返ってきたボール。


第一に、ボールの落下点にすぐさま入ったのち、綺麗な軌道でボールを仲間へつなげる者。

第二に、軌道を描いて仲間がつないだボールを、自らの額前に一瞬だけ引き寄せてから第三の仲間へつなげる者。


「朝陽、」



――…タンッ

――…バシンッ!!



第三に、仲間がつないできたボールを

空中で高らかに利き手を振り抜き、決める者。



「っしゃあぁあ!!」

「ナイスコース朝陽っ!!」



仲間の「つなぐ」があるから、決めた一点の喜びを分かち合うことができる。

バレーボールという競技が成立するのは、仲間が居てこそだとわたしは思っている。