いつなんどきだって、私は橘くんのことを考えているのに、なんで気づかなかったのか。



それは今まで連絡しようと思わなかったから。


…というか、連絡するような話題がなかったんだけど……。



でも肝試しの帰り家まで送ってもらって、夜も遅かったし橘くんもちゃんとおうちに着けたか不安になって連絡しようとしたら。


やっと気づいた。





「美憂、今すぐ橘くんのところにいってもらっておいで」




呆れるどころか、「私もいこっか?」なんて続けてくれるあずちゃん。


やっぱり大好き。




「ありがとう、大丈夫だよ!いってくるっ!」





私とあずちゃんは、昔からやると決まったら即行動するタイプだ。


あずちゃんの言葉にいても経ってもいられず即座に走り出す。



朝から橘くんに会えるなんて、嬉しいなぁ。


橘くんを見る前からご機嫌モードになっちゃうなんて、自分でも呆れるほど重症。



1人で笑いながら廊下を小走りしているなんて、側から見たらさぞかし変な光景なんだろう……。




会いに行こうと思えば、いつでも会える距離。


だって同じ学校にいるんだから。


でも、用がないと他の階にはいかないし、来ないし…。

わざわざ行くのも周りの目線が付き纏うから、さすがの私でもクラスまで押し掛けたりはできないんだ。