ある日、私は気づいてしまった。




「あずちゃんあずちゃんっ!たいへんっ!」




教室に飛び込むなり、大声で捲し立てる私に驚いてるのはあずちゃんだけじゃなくて。


クラス中のみんなになんだなんだと視線を向けられる。



は、はずかしい…。

でも、そんな場合じゃなくて!!




「どうしたの?」




小首を傾げたあずちゃんが可愛くて、女の私でも胸を撃ち抜かれそうになるけど、それを必死に堪える。




「あのね、私ねっ、」


「うん?」



「橘くんの連絡先もってないの!!」





こんなことだけで大騒ぎしてたら、呆れられるかな、とか。


ちょっと思ったけど、でも私からしたら大事件なんだ。



そんな重大なミスになんで私は今まで気づかなかったんだろう。




「え、もってないの?」




案の定、少し驚いた様子のあずちゃん。




「そう…、昨日連絡しようとして気づいた…」