エピローグ





 「いい場所だな………」
 「うん。ここなら、きっと喜んでくれるよね」


 高台にある小さなお墓。
 そこに新しい墓石が置かれていた。
 そこには「シンドウアキサネ」と英語でかかれていた。空澄はその上に白い花束を置いた。


 あの日。リアムが再び璃真の白骨は入り、バラバラになってしまったものを、空澄と希海はきれいに集めた。空澄はまだ家に璃真がいて欲しいと思っていたけれど、また、こんな事件があると彼もゆっくり眠れないのではないか。そう思い、2人はお墓を作ることにした。
 ここには、少し離れた場所に彼の両親も居るので、きっと今ごろ再会しているはずだと空澄は思った。




 リアムと希海にかかっていた容疑は、しっかりと調べた結果、逮捕に値しないと判断され、2人は釈放された。
 リアムは「おまえたちと関わるのはごめんだ」と、さっさと去っていこうとした。けれど、「あいつの墓が出来たら教えろ」と、連絡先だけ残して去っていった。
 そして、小檜山はあれから警察からもいなくなり行方不明だという。もともと空澄を見張るための仕事だったのだ。彼がこの土地から離れるのも仕方がないのかもしれない。けれど、希海は「まだ諦めてないかもしれないから気は抜けない」と、言っていた。



 希海の体調が戻ってから、璃真と希海の事。そして、リアムが彼の体に入っていた事を詳しく聞いた。
 自分は知らないことが多かったのだと反省しながらも、今魔女になれてよかったと改めて思った。

 
 「空澄、大丈夫か?」
 「………うん。大丈夫だよ。ちょっと、考え事してただけ」


 希海に後ろから抱きしめられ、空澄は後ろを向きながら微笑んだ。