──二日目・(水曜日)。



早朝、父親は出張で青森へ出掛けた。




そして、今日から私の嫌いな二学期の期末試験が始まった。




国語、美術、数学。




一応、白紙は埋めてきたけれど。




全部、平均点よりもきっと下だろう。




だって、テスト勉強はしていないから。




私はテストの点はそれほど気にしていない。




それよりも、早く家に帰りたかった。



昨日は、泥を投げつけられた。



今日もまた何をされるのかわからない。




教室の前の戸を一番に飛び出るように開けて、家まで走って帰ってきた。



振り替えると意地悪な笑顔がちらほら見えた。





──怖い!怖い!怖い!



足がすくむ。



だけど、真っ直ぐに走った。




別に急ぐ用事もないのに──、




あるような顔をして帰ってきた。




午後十二時半、「おかえりなさい」と口を大きく動かして迎え入れてくれたのは太宰さんだった。



昨日会ったばかりの太宰さんは、もう何年も前からこの家に住んでいる人のように馴染んでいた。