私は困っていることがあった。 青年が心配をしてくれた。 私は青年と話し合った。 青年は手話を知らない。 だから、私はいつも筆談用に使っているノートを青年に差し出した。 青年は胸ポケットから自分の万年筆を取り出した。 【じゃあ、高かった補聴器は、川に流れた事にしよう。】 青年がこんな提案をした。 今度は、青年の動く唇を見た。 「今はそうしておこう。 それでいいんだよ。」 私は唇の動きを読んだ。