転生したら異世界だったので、とりあえず平民やってたのですが。

「…では、こちらへ」


疲れた様な表情のディヤンに案内され、馬車へと向かう。向かう途中で、チラッとディヤンを盗み見る。

(…改めて見ると、ディヤン様も悪くはないな。茶色の髪に、エメラルドグリーンの瞳。そういえば、近所の女の子達がかっこいいだの結婚したいだの、騒いでたっけ…?)


そんなことを考えながら、豪華な装飾が施された多頭引きの馬車に乗った途端、私はギョッとした。


なんと、プリンセスが乗っていたのだ。


「は、初めまして…!」


ドアの前で立ち止まり、思いっきり頭を下げた。その反動で、馬車が少し揺れた。



「初めまして」



プリンセスが、微笑みながら私を見つめている。う、美しすぎる…!


「どうぞ、お座り下さい」


プリンセスの右隣に座っていたフィールが、くすくすと笑いながら、向かい側の席に座るように促してきた。


(ああ、やっぱりかっこいい…)


「…失礼します」


席に座ると、その座り心地の良さに感激した。フッカフカのもっふもふ…最高。


私が感激している間に馬車の扉が閉まり、ゆっくりと動き始めた。