「た、高下さん……」


後ろから少し噛まれただけだ。


大丈夫、死ぬほどの怪我じゃない。


自分にそう言い聞かせて、高下に近付く。


「ね、ねえ。高下さん。ほら、今度こそもう大丈夫だよ。怪我は大したことないんでしょ? あんなに強かった高下さんが、イーターなんかにやられるわけないでしょ?」


そう言っても、高下の開いた目は私を見てくれることがなくて。


「愛莉。わかるでしょ。もう……高下は」


「わからない! 高下さんは強いんだよ? 真倫ちゃんも見たでしょ!? あんなに強いのに、イーターなんかにやられるはずがないよ!」


首を横に振って、その言葉の先を言わせないようにしていたけど、それは……ただ私が認めたくないだけだということはわかっていた。


「誰だって……致命傷を受ければ死ぬんだよ。高下のは……もうどうしようもないよ」


真倫ちゃんのその言葉は聞きたくなかった。


そりゃあ、私をいじめていて、自殺を考えるまで追い込んだ人だったけど。


やっと、協力して生きようと思えたのに。


何より悔しいのは、そう思えたにも関わらず、涙が出なかったことだ。


私は……本当に高下の死が悲しいのかな。


そんな感傷に浸っている時、それは起こった。


生徒玄関の外。


外灯とは違う、眩しい光が私達を照らしたのだ。