「い、いいタイミングだ! って、うわっ! どうしたふたりとも! 血塗れじゃないか!」


前庭の外灯に照らされて、浮かび上がった私達の姿は、雄大にはさぞ不気味に映ったことだろう。


「後で説明するよ。それより食糧は……」


ドアの中に三人が入ったのを確認して、鍵をかける。


「愛莉! 高下! すぐに隠れて!」


「え?」


真倫ちゃんが慌てたようにそう言って、なんだろうと外を見てみると……。


ガクンガクンと上下に頭を揺らし、イーター達がこちらに向かって走って来ていたのだ。


「ひ、ひいっ!!」


ひとりやふたりではない、10近い数のイーターが、真倫ちゃん達を追い掛けていたのだろう。


その影を確認した私は、慌てて下足箱の陰に身を隠した。


「な、なになになに! あの数は!」


「す、すまない。この子達を助けていたら、引き連れて来てしまった」


そう言った雄大の背中に、小学生低学年くらいの男の子が震えて必死にしがみついていた。


そして、真倫ちゃんが持っていた物は……毛布に包まれた赤ちゃん?


「だ、だから俺はやめようって言ったんだよ! どうするんだあの数!」


桐山も、押し殺した声で文句を言っているけど、子供を助けてイーターに追われていることくらいしかわからなかった。