どうやら、侵入したイーターはふたりだけのようで、私達はひと通り確認を終えると、保健室に入った。


高下の左腕の傷を手当するために。


「痛い痛い! なにこれ、めっちゃしみるんだけど! 本当に消毒液なの!? 毒かなんかじゃなくて!?」


「大袈裟なんだから。怪我してるけど、少し切ったくらいだから我慢して」


「そんなこと言っても……いたたた! イーターに噛まれてさ、私もイーターになったりしないよね?」


なんだか怖いことを聞いてくるな。


でも、それは大丈夫だと思う。


おばあちゃんの話から察するに、これはこの土地独特の……呪いか何かだと思うから。


断言はできないけど、ウイルスや細菌のせいでイーターに変わったわけではなさそうだから。


「それなら、とっくにイーターになってるでしょ。矢島さんも、茂手木さんも」


チラリとベッドの方を見て、すぐに高下の腕に視線を戻した。


「うん……そうだね」


医療の知識なんてない私にとっては、せいぜい傷を水洗いして消毒するくらいしかできない。


あとはガーゼを当てて、包帯を巻く程度だ。


嫌いだけど……仲間か。


私達ひとりでは、イーターに立ち向かえない。


仲間と協力しなければ、生きることも難しいということを、思い知らされた。