教室に戻ると、雄大が目を擦って起きていた。


「あれ? 起きたんだ。まだ外は暗くて朝じゃないよ」


「水音で目が覚めたんだ。それにしてもよく寝た感じがするけど……今何時なんだ?」


水音って……私の用を足す音じゃないよね?


少し恥ずかしく思いながらも、雄大の質問に答える為に、教室の壁に掛かっている時計を見た。


「えっと……6時2分……えっ?」


確かに時計の針はその時間を示していたけど、明らかにおかしな点がある。


「なにっ? 6時? そんな馬鹿な。6時だったら空は明るくなってるはずだ」


雄大の言い分ももっともなんだけど、私はもっと恐ろしいことに気付いてしまったかもしれない。


「ま、待って。私達が学校に来た時も、6時になったばかりだったよ。私が真倫ちゃんと家を出たのが17時くらいで……あれ、もしかして」


「け、結論を出すのはまだ早い。ここの時計が止まっているか、偶然同じ時間に時計を見た可能性だってあるだろ」


その考えの不自然さは、雄大だって言ってわかってるはずなのに。


「雄大……私、思い出したんだ。あの地震の後、それまで明るかった空が急に真っ暗になったの」