茂手木だけじゃなく、雄大も苦しんで悩んで、出した答えだったんだ。


それを聞いて、誰も反論なんてできない。


「わ、わかるぜ。長く苦しむなら早く楽にしてやりたいって気持ちは。放っておいても死ぬってわかってたとしてもな」


「う、うん。雄大の気持ちも、高下さんの気持ちもわかるから、何もできなかったよね、私達」


それが私の本心だ。


なんでもできると思い込んでた私達は、何もできないんだと思い知らされた。


子供だから……というわけではない。


知識も、覚悟も、何もかも中途半端なんだろうな。


「今日はもう寝よう。机を並べてその上で寝るか、床に寝るか。何にせよ、色々ありすぎて疲れた」


そう言った雄大は、窓際に移動し、背中を壁に向けて丸まって横になった。


「朝になれば、この状況も少しは良くなるかもしれないね。あまり期待はしない方が良さそうだけど」


そうだ、朝になれば……悪い夢でも見ていたかのように、大人達は元に戻っているかもしれない。


それが、都合のいい希望だったとしても、そうなることを望まずにはいられない。


私も床に腰を下ろして、仰向けではなく身体を丸めて横になった。


これ以上、悪いことが起きませんようにと祈りながら。