「おい、茂手木を殺すったって、どうやって殺すつもりだよ。俺は……嫌だぜ? 人殺しなんてよ」


人殺し。


桐山はきっと、特に意識もせずに言ったと思うけど、言われてみれば確かに人殺しになってしまうかもしれない。


命を大切にしましょうなんて、学校で教わるようなことは、何も起こっていない平和な世界でだけで通用する綺麗事なんだ。


こんな状況下で、どうすれば正しいかなんて……先生は教えてくれなかった。


「そんなの俺だって無理だ。人殺しか……救いの為の殺人は、罪になるのかな」


桐山も雄大も、茂手木を殺すことはできない。


高下に殺させるなんて、あれだけ茂手木を庇っていたんだからできるはずもない。


となると、私か真倫ちゃんになるの?


そりゃあ、高下や茂手木には、自殺に追い込まれるくらいいじめられて、殺したいとは思ったこともあったけど。


いざ、実際に殺す状況になると、「やる」とは言えない。


世界が変わって、成り行きとはいえ一緒に行動をして、特に嫌だと感じなかったから戸惑っているのかな。


こんな状況だから、私をいじめても仕方がなかっただけかもしれないけれど。