「ま、待ってよ……待って! 唯乃は、まだ生きたいと思ってるはずだよ! それなのに殺すなんて酷いことしないでよ!」


高下が必死に茂手木を庇うけど、私にはもう、どっちの言い分が正しいのかわからない。


殺せと言われても、私には殺せそうにないし、死ぬまで茂手木を見ていろと言われても、こんな痛々しい姿を見るのは精神的にきつい。


大人がいないということは、全ての責任が私達にのしかかって来るということで。


誰かのせいになんて出来ないってことなのかな。


「うぅ……葵……ひゃん」


そんなことを考えていると、弱々しい声で茂手木が高下を呼んだ。


「うん。私はここにいるから。大丈夫だよ。唯乃は私が……」








「お願い……わらしを……殺ひて……」







どんな……気持ちで、茂手木はその言葉を発したのだろう。


どんな気持ちで高下はその言葉を聞いたのだろう。


苦しくて苦しくてたまらなくて、早く楽になりたい。


こんな状態では、生きていてもつらいだけ。


そんな想いが、その言葉に込められているであろうことは、考えなくてもわかった。


高下は、何も言わずにただ泣いていた。


ボロボロと大粒の涙を流して。