どれだけもがいても、生きたいと願っても、その手段さえ残されていないのだから。


「真倫ちゃん。私ね、あのお祭りの前の日に、ここにいたんだ。飛び降りて、死んだ方が楽になるかなって」


「愛莉? 何を言って……」


「最後まで聞いて。私さ、高下さん達にいじめられてたのが辛くて、苦しくて。いっそ、死んでしまったら、もう苦しまなくて済むのかな……なんて思ってた」


あの日、ここから飛び降りていたら、私はこんなことに巻き込まれなかったのに。


真倫ちゃんが一緒にいなかったら、きっとそう思っていただろうな。


「私、真倫ちゃんに打ち明けられなかった。真倫ちゃんがいることを忘れて、ひとりで苦しんでたんだ。助けを求める勇気も……きっとなかった」


「愛莉……愛莉がいたから、私はここまで生きて来られたんだよ。私一人だったら、誰の為に生きるとか考えられなくて、きっともっと早くに死んでたと思う」


「んーん。真倫ちゃんは強いもん。きっと、私がいなくたって、他の誰かの為に生きてたよ」


屋上のドアまでイーター達がやって来たのだろう。


ドンドンと叩く音が聞こえてきて、間もなく破られてしまうというのがわかった。