猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~

「最高だ!」

三実さんが威勢よく言い、ぱちぱちと拍手をするので、私は頬がかーっと熱くなるのを感じた。堂々とした褒め言葉に、恥ずかしさ全開だ。
すると三実さんはいきなり携帯電話を取り出した。

「何枚か撮ろう!」
「え!?写真ですか?」
「そうだ。撮ろう。離れている間も愛しいおまえを見られるように」
「いえ!そんな!大丈夫です!」
「俺は大丈夫じゃない。撮ろう!」

慌てふためく私をばしばしと写す三実さん。いろんな角度から撮りたいらしく、私の周りを携帯電話を携えてぐるぐる歩き始める。

いったい、なんなのこの人は!
恥ずかしさでパニックの私はとうとうその場にしゃがみ込んで顔を隠してしまった。
頭上でシャッター音が聞こえるからこの状態の私も撮っておきたいのだろう。

ちょっと待って。この人、おかしい。
変わってるのを通り越してる。変態なのかしら?
何しろ、この行為に好意を感じない。ひたすら無邪気に写真を撮られて、意味がわからない。まったく理解できない。

「浴衣で寝る幾子は大変美しいが、襟元や裾がはだけると俺も我慢がつらいんだ。この部屋着なら、小うさぎのようで俺の庇護欲を刺激するだけで済むだろう」

そろりと顔をあげると、私の前に同じようにしゃがみ込んでいる三実さん。顔が近い。私の困惑顔を不思議そうに覗き込むのだ。
きょとんとした顔しないで。本当に意味がわからなすぎる。