猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~

植松さんの言葉に少しだけほっとした。きちんと考えなきゃならないのに、いきなり後ろ向きになっていた。まずは、ちゃんと三実さんに話さなきゃ。
すると信士くんが腕を伸ばし、私のお腹をさすりだした。

「幾ちゃんに赤ちゃんがくるようにおまじないしておくね」
「ありがとう、信士くん」

信士くんの優しい態度に胸を熱くさせながら、私は頷いた。
元気を出さなくちゃ。前向きに考えなきゃ。



帰宅し、薄暗い部屋に灯りをつけた。エアコンをつけ、ふうとソファに座る。
食事の準備をしなきゃいけない。頭で思いながら身体は鉛みたいに重たくて動いてくれない。

携帯を取り出し、『不妊』と検索をかけようとしてやめた。駄目だってば、まだなんの検査もしてないのに、心配ばかり膨らませて。こういうマイナス思考なところは駄目。

だけど、私たちの間に赤ちゃんができるのは、いつになるのだろう。タイミング法だけに頼るなら、あと何ヶ月? 三実さんに話して、ふたりで不妊の検査をしてもらうとしたら?