猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~

そこから三ヶ月、私はタイミング療法というものを試してみた。簡単に言えば、私の排卵のタイミングに合わせて愛を交わすというもので、しょっちゅう三実さんに求められている身としては、問題なくできそうだった。

今までは排卵を意識せずにそういうことをしてきたけれど、今回はしっかり意識しなければならない。ここぞという日は自分から誘うことも必要だった。
三実さんは多忙だ。夜遅い帰宅も当然あり得る。そんな日は疲れている三実さんにそれとなく近づき、誘惑しなければならない。

これはめちゃくちゃ恥ずかしかった!

なにしろ、どうやったら三実さんがその気になってくれるかわからない。最初は遠回しに『三実さんが帰ってくるまで起きてます』とか『少し肩が痛いみたいなので押してもらえますか?』なんて言ってみたけれど、三実さんは真面目に早く帰ってきてくれたり、親切にマッサージをしてくれるだけ。
むしろ、『疲れただろう? 眠っていいぞ』なんて優しい言葉をかけられ、私はひとり身もだえた。違うの! そうじゃないの!

三実さんにタイミング療法のことを言うべきかも考えた。しかし、プレッシャーを与えるようで、躊躇してしまう。義務で抱き合いたくはない。
だから、三実さんには意識させずに赤ちゃんができたらいいなと……。ひとりよがりな考え方かもしれないけれど、これで妊娠したら三実さんにサプライズプレゼントになる。

『三実さん、少しだけ抱き締めてくれますか?』

拙いけど誠心誠意の誘惑の言葉に、三実さんが反応してくれるのを待ち、抱き締めてもらったらこちらからも一生懸命甘えてみる。必死のムード作りと、スキンシップと愛情表現で、私は見事三ヶ月とも、三実さんといいタイミングでベッドインすることができたのだ。

それなのに……。