「結婚一周年もこうしてパーティーみたいにしましょうね」
「ああ、毎年やろう」
「でも、赤ちゃんができたらこんなにたくさん作る暇なくなっちゃうかもです」

三実さんがぱあっと明るい表情になった。

「そうだな!幾子は俺の子を山のように産んでもらわなければならないからな!」
「そんなにたくさん赤ちゃんがほしいんですか?困ったなあ」
「ああ、ほしい。幾子によく似た女の子を想像すると胸が躍る。なにしろ、幾子の12歳より前の様子はほとんど知らないんだ。娘の成長で、幾子の幼児、少女期を補完できる」
「発想がちょっと怖いですね」

溺愛のレベルが若干おかしい三実さんに、いつのまにやら私も笑顔で突っ込めるようになった。
ふと思う。

その時、ふと気づいた。
そういえば月のものが遅れている。
おそらく一週間近く。

「三実さん」

言おうか迷って、途中で唇を噤んでしまう。自分で調べてからの方がいいんじゃないだろうか。
三実さんの希望もあって、身体を繋ぐようになってから避妊はしていない。いつ赤ちゃんができてもおかしくない。

「幾子?どうした」
「えっと、その……」

ごまかすにも、すごく見つめてくるのでなんとも言えない。

「月のものが……遅れていて……」

三実さんが突如立ち上がった。私を見つめる瞳が興奮に満ちている。

「それは……妊娠か?」
「まだわかりません!調べてみないことには!」

慌てて言う私をよそに、三実さんは寝室へ。私と自分の分のコートを持ってきて言うのだ。

「うちの主治医のところへ行こう。すぐに調べてくれる」
「え?今からですか?」

食事は終盤だけど、時刻はすでに夕刻だ。土曜のこの時間にやっている病院なんて。
ああ、だから金剛家の主治医の先生のところへ行くのね。