「幾子、ぼんやりしてどうした?」
「あ、いいえ。なんでもないです」
赤ちゃんのことを考えていたなんて言ったら、今すぐ押し倒されそうだ。
「夜の約束まで何をしようかなあと考えていたんです」
「時間はある。デートしよう」
三実さんが無邪気に笑い提案してくる。こういう時の子どもっぽい顔が好きだ。
「だいぶ寒くなってきたし、幾子に厚手のコートを買ってあげたいんだが」
「今あるもので充分ですよ。寒い京都でも負けない厚々したダウンですから。それより、デートならプラネタリウムに行きませんか。私、見たことがないんです」
「プラネタリウムだな?心得た」
ああ、幸せだなあ。大好きな人と過ごす休日が愛おしい。
私たちは着替えて車で出発した。郊外の大きなプラネタリウムを目指して。
「あらあら、お似合いのご夫婦や」
夜、ホテルのフレンチレストランに現れた諭の第一声だ。
「諭、お父さん」
「幾子、元気そうでなによりだ」
父が本当に安心したように息をつく。家出以来の再会だ。心配していたに違いない。
「お義父さん、諭さんその節はお騒がせしました」
「いえいえ、幾子の表情が明るくてもうほっとしました」
父はきっと何度もこういう姿を見せてきたのだろう。私が気づかなかっただけで。
「もう、ええでしょ、社長。ごはんにしよ」
「諭、不作法をするな」
諭と父の距離も前より縮まってきているように見える。ふたりともお互いを親子として認めあっている感じ。それは私が嬉しい。
「あ、いいえ。なんでもないです」
赤ちゃんのことを考えていたなんて言ったら、今すぐ押し倒されそうだ。
「夜の約束まで何をしようかなあと考えていたんです」
「時間はある。デートしよう」
三実さんが無邪気に笑い提案してくる。こういう時の子どもっぽい顔が好きだ。
「だいぶ寒くなってきたし、幾子に厚手のコートを買ってあげたいんだが」
「今あるもので充分ですよ。寒い京都でも負けない厚々したダウンですから。それより、デートならプラネタリウムに行きませんか。私、見たことがないんです」
「プラネタリウムだな?心得た」
ああ、幸せだなあ。大好きな人と過ごす休日が愛おしい。
私たちは着替えて車で出発した。郊外の大きなプラネタリウムを目指して。
「あらあら、お似合いのご夫婦や」
夜、ホテルのフレンチレストランに現れた諭の第一声だ。
「諭、お父さん」
「幾子、元気そうでなによりだ」
父が本当に安心したように息をつく。家出以来の再会だ。心配していたに違いない。
「お義父さん、諭さんその節はお騒がせしました」
「いえいえ、幾子の表情が明るくてもうほっとしました」
父はきっと何度もこういう姿を見せてきたのだろう。私が気づかなかっただけで。
「もう、ええでしょ、社長。ごはんにしよ」
「諭、不作法をするな」
諭と父の距離も前より縮まってきているように見える。ふたりともお互いを親子として認めあっている感じ。それは私が嬉しい。



