「僕はお母さんといたい。でもお父さんにもおじいちゃんおばあちゃんにも会ってみたい」
「信士」
「この先、お母さんが大変なときは僕が守るから。絶対絶対、お母さんを守るから」
志信さんの腰に腕をまわしてぎゅうっとしがみつく信士くん。志信さんの瞳から涙がこぼれた。気の強い彼女の初めての涙だった。
「志信、婚約していた時代は、本当にすまなかった。あの頃の俺は人を好きになるというものがわからなかった。おまえに対して失礼な態度しかとってこなかったように思う」
三実さんが真摯な言葉を伝える。私はその横に寄り添った。
「今は俺にも大事な存在がいる。人を愛するということを毎日勉強しているようなものだ。俺に言えた義理ではないが、信士とふたり、幸せになってほしい。それを望む存在はおまえの周りに多くいる」
志信さんが目元を拭い、私と三実さんを見つめた。
「騒がせて申し訳なかったわね。もう新婚夫婦の邪魔はしないわ。これから、信士と両親に会いに行ってくる」
志信さんなりのお詫びだった。信士くんが私のところに駆け寄ってきて熱心に見上げてきた。
「幾ちゃん、たくさん遊んでくれてありがとう」
「またきっと遊べるよ。夏休み中にプールしよう」
「うん!」
広間に戻ると、志信さんと信士くんはお義父さんに挨拶をし、場を辞して去って行った。ご両親に会いに行くのだ。おそらくはご実家に入ることになるだろう。
「信士」
「この先、お母さんが大変なときは僕が守るから。絶対絶対、お母さんを守るから」
志信さんの腰に腕をまわしてぎゅうっとしがみつく信士くん。志信さんの瞳から涙がこぼれた。気の強い彼女の初めての涙だった。
「志信、婚約していた時代は、本当にすまなかった。あの頃の俺は人を好きになるというものがわからなかった。おまえに対して失礼な態度しかとってこなかったように思う」
三実さんが真摯な言葉を伝える。私はその横に寄り添った。
「今は俺にも大事な存在がいる。人を愛するということを毎日勉強しているようなものだ。俺に言えた義理ではないが、信士とふたり、幸せになってほしい。それを望む存在はおまえの周りに多くいる」
志信さんが目元を拭い、私と三実さんを見つめた。
「騒がせて申し訳なかったわね。もう新婚夫婦の邪魔はしないわ。これから、信士と両親に会いに行ってくる」
志信さんなりのお詫びだった。信士くんが私のところに駆け寄ってきて熱心に見上げてきた。
「幾ちゃん、たくさん遊んでくれてありがとう」
「またきっと遊べるよ。夏休み中にプールしよう」
「うん!」
広間に戻ると、志信さんと信士くんはお義父さんに挨拶をし、場を辞して去って行った。ご両親に会いに行くのだ。おそらくはご実家に入ることになるだろう。



