「志信の現況を話したら、養育費を送りたいと言っている。代わりに信士に会わせてほしいと」
「嘘よ、あいつにそんな金があるはず……」
「元夫が金銭的に頼れないと思ったから、俺のところに来たんだろう。当時は違っただろうが、彼は今、市内で飲食店を経営しているそうだ。少しだが貯金もあるから、息子のこれからを応援したいと言っている」
志信さんは押し黙った。信士くんの父親は彼女にとって頼れる存在ではなかったのだろう。
だから彼女は三実さんを頼ってやってきた。どこまで関係がこじれてもやっぱり幼馴染なのだ。志信さんは助けてほしかったのだ。
「それともうひとつ。これが一番大きな成果で褒めてほしいくらいなんだが」
三実さんが改まって告げる。
「志信のご両親と話をつけてきた。俺と親父で」
「え、父たちと?」
志信さんが困惑した顔になる。
「一度は志信をはねつけたものの、ご両親は心配していたそうだ。可愛い孫にも会いたい。志信と信士を家に受け入れたいと言っている。威張ってみたが、実は俺と親父が口添えするまでもなかったよ。早く会いに行ってやってほしい」
志信さんはしばし黙った。
プライドの高い彼女に、ここまで生活のお膳立てをしてしまうのは逆効果だっただろうか。でも、最善の道を三実さんは探してくれたのだと思う。
「お母さん」
信士くんが志信さんの手をぎゅっと握った。
「嘘よ、あいつにそんな金があるはず……」
「元夫が金銭的に頼れないと思ったから、俺のところに来たんだろう。当時は違っただろうが、彼は今、市内で飲食店を経営しているそうだ。少しだが貯金もあるから、息子のこれからを応援したいと言っている」
志信さんは押し黙った。信士くんの父親は彼女にとって頼れる存在ではなかったのだろう。
だから彼女は三実さんを頼ってやってきた。どこまで関係がこじれてもやっぱり幼馴染なのだ。志信さんは助けてほしかったのだ。
「それともうひとつ。これが一番大きな成果で褒めてほしいくらいなんだが」
三実さんが改まって告げる。
「志信のご両親と話をつけてきた。俺と親父で」
「え、父たちと?」
志信さんが困惑した顔になる。
「一度は志信をはねつけたものの、ご両親は心配していたそうだ。可愛い孫にも会いたい。志信と信士を家に受け入れたいと言っている。威張ってみたが、実は俺と親父が口添えするまでもなかったよ。早く会いに行ってやってほしい」
志信さんはしばし黙った。
プライドの高い彼女に、ここまで生活のお膳立てをしてしまうのは逆効果だっただろうか。でも、最善の道を三実さんは探してくれたのだと思う。
「お母さん」
信士くんが志信さんの手をぎゅっと握った。



