猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~

「あの親子も出席するって言ってたぞ」

そうなんだ。大方、お義父さんが招いたのだろう。志信さんは三実さんとの復縁を本気で望んでいるのだから、喜んで出席するはずだ。お義兄さんふたりとそのご家族は私たちの状況をどう見るだろう。
いや、そんなことを考えるのはやめよう。

「私は気にしません。三実さんの妻は私ですから」
「お、強いね。若奥様、だいぶ雰囲気が出てきたじゃねえか。ここに来たときは大人しいお嬢さんって感じだったけれど」
「へへ、そうですか?」

それはちょっと嬉しい変化かもしれない。ここ二ヶ月ちょっと、新しい環境で、今までにない困難をこなしていくうちに少しは私の心も変わってきたのだろうか。
それなら、早く三実さんに気持ちを伝えなきゃなあ。

「幾ちゃーん」

遠くから声が聞こえてくる。鶏舎から出てみれば、信士くんが駆けてくるところだった。


昼食を食べ、信士くんと約束通り水遊びをした。
水着がないので、びしょびしょになってもいいようなショートパンツとTシャツ。これならキスマークも見えない。替えの服と下着もすべて持ってきた。
信士くんは張り切って学校の水着だ。

大きなビニールプールは、膨らませるのこそ大変だったけれど、かなり遊べる。これは買って大正解。
私たちは水鉄砲でお互いを攻撃し合い、狭い庭の芝生とプールを駆けずり回った。