「幾ちゃんは大好き。でも、お母さんと離れたくない」
そう言ってしくしく泣きだした信士くんに、私は一辺に後悔の虜になった。ひどいことを言ってしまった。そんなこと、たとえ話でも聞いちゃいけなかった。
「ごめんね、信士くん。絶対ないよ。お母さんと離れないで、信士くんは安心して大人になれる」
信士くんを抱き締め、私はじっとりと汗をかいた背をなでる。目の前にいるのは庇護しなければいけない子ども。その体温を愛しく思った。
私にできることはたぶん多くなくて、肝心な部分は三実さんが考えてくれている。そして決断しなければならないのは母親である志信さんだ。
ここにきて、私は初めて志信さんに怒りに似た感情を覚えた。
信士くんをこれほど不安にさせ、寂しくさせていることに気づかないなんてひどい。勉強させ、お金を稼ぐのは大事かもしれない。だけど、それを理由に信士くんから目を逸らすのは絶対に駄目。
ああ、信士くんに私がしてあげられることってなんて少ないんだろう。せめて私といるときは楽しく過ごしてほしい。
「明日は忙しいよ。鶏舎の掃除をして、プールで遊ぶよ。塾から急いで帰ってきてね」
「幾ちゃん、帰ってくるのこのくらいの時間?」
「ううん、明日はお休み!だから、準備しとくね!」
なんとかかんとかビニールプールを膨らませ終わり(体力勝負だった)、離れは自由に使っていいと伝えて金剛家を出た。テレビがあるから、少しは暇が潰せるんじゃないかな。
そう言ってしくしく泣きだした信士くんに、私は一辺に後悔の虜になった。ひどいことを言ってしまった。そんなこと、たとえ話でも聞いちゃいけなかった。
「ごめんね、信士くん。絶対ないよ。お母さんと離れないで、信士くんは安心して大人になれる」
信士くんを抱き締め、私はじっとりと汗をかいた背をなでる。目の前にいるのは庇護しなければいけない子ども。その体温を愛しく思った。
私にできることはたぶん多くなくて、肝心な部分は三実さんが考えてくれている。そして決断しなければならないのは母親である志信さんだ。
ここにきて、私は初めて志信さんに怒りに似た感情を覚えた。
信士くんをこれほど不安にさせ、寂しくさせていることに気づかないなんてひどい。勉強させ、お金を稼ぐのは大事かもしれない。だけど、それを理由に信士くんから目を逸らすのは絶対に駄目。
ああ、信士くんに私がしてあげられることってなんて少ないんだろう。せめて私といるときは楽しく過ごしてほしい。
「明日は忙しいよ。鶏舎の掃除をして、プールで遊ぶよ。塾から急いで帰ってきてね」
「幾ちゃん、帰ってくるのこのくらいの時間?」
「ううん、明日はお休み!だから、準備しとくね!」
なんとかかんとかビニールプールを膨らませ終わり(体力勝負だった)、離れは自由に使っていいと伝えて金剛家を出た。テレビがあるから、少しは暇が潰せるんじゃないかな。



