その晩、私は三実さんに抱かれた。
激しく狂おしい時間だった。

ありとあらゆる感覚を味わった気がするけれど、明け方に死んだように眠りに落ちると、もう何もかも夢の奥へ追いやられてしまった。私もものすごく混乱していたのだろう。


早朝、私はひとり目覚めた。おそらく眠ってからさほど経っていない。
横で三実さんが寝息をたてている、乱れた髪、浅黒い裸の肩。触れようとしてやめた。起こしてしまいたくない。
布団に手をつき身体を起こすと、奥底に鈍い痛みを感じた。
全身筋肉痛みたいにもなっている。立ち上がれるだろうか。
よろよろと身体を引き上げ、下着だけかきあつめそっと寝室を出た。

書斎のウォーキングクローゼットからワンピースを一枚取り出す。それだけ身に着け、リビングに置いた小さなバッグを手にした。バッグの中身は財布と携帯だけ。
髪も梳かさず、メイクもせず、私は早朝の金剛家を出た。