夕食後、志信さんと信士くんが自室に戻り、私は簡単な片付けとお風呂の準備をする。
それから携帯を取り出し、ビニールプールを検索した。結構お値打ち価格なんだなあと画面をスワイプ。

「先に風呂に入る」

三実さんの声が背中に聞こえた。あれ?てっきり今日も会社に戻るものだと思っていたんだけれど。
ビニールプールとポンプアクション式水鉄砲、バックパック付き水鉄砲を購入。これで信士くんと全力で闘える。水遊びなんて子どもの頃以来なので今からわくわくだ。

三実さんはお風呂をあがると、書斎に入ってしまった。またお仕事だろうか。私は自分のペースでお風呂とスキンケアを済ませ、寝室へ。少し早いけれど、今日は寝てしまおう。

すると、数分と置かず、三実さんが寝室にやってきた。浴衣姿が相変わらずどきっとするほど色っぽい。

「幾子」

襖がぱたんと閉まる。三実さんが布団の横に立ち、私を見下ろしている。
不穏な空気は彼が入ってきた瞬間から感じていた。

「抱きたい」

ストレートに言われ、私は一瞬口ごもった。三実さんの顔を見られない。

「あの、今はちょっと」
「体調の問題か」
「いえ……でも、志信さんたちの問題が片付いてからにしませんか?」

毎日モヤモヤを積み重ねた状態で、私の気持ちはあまりスッキリしたものじゃない。
三実さんの行動で状況を変えることはできるはずなのに、まるで志信さんと過ごす日々を楽しんでいるように見えて……。

いや、そんなことはない。被害妄想みたいなこと考えちゃ駄目だ。