【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい


「わたし、毎日とっても楽しいんです」

 気づけば、ぽろりとそんな言葉が口をついてこぼれていた。

 体育祭の準備をとおして、クラスのみんなと話す機会が格段に増えた。
 そしてみんなで練習したり、話し合ったり、団結したり、ふとした瞬間に、今すごく青春していると感じるのだ。……梅子が味わうことのできなかった青春を。

「学校行事がこんなに楽しいものだなんて知らなかった。それも全部、クラスのみんなや、皇くんがいてくれたおかげです。それに、担任が先生だったから」

 ああ、また先生への思いが溢れてしまった。「なんて」と照れ隠しに笑っていると、先生が「森下」とわたしを呼んだ。
 
 すると、その時だった。

「桃!」

 まるで一筋の矢のごとく名前を呼ばれたかと思うと、突然後ろから腕を掴まれた。手を掴まれた方を振り返れば、皇くんが立っていた。