総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜



 由姫は――お前らが思っている何倍も、いや……他の追随を許さないくらい、聡明な人間だからな。

 頭が切れるだけではなく、“ケンカも”だけど。

 サラが有名なのは、その美貌ももちろんだけど……いくつもの伝説を残してる。

 由姫の強さは圧倒的だ。

 幼いころから同じ空手道場に通っているけど、由姫には一度も勝てたことがない。

 由姫以外には負けたことがないのに、由姫には手も足も出ない。

 空手以外にも武術をいくつも習っていた由姫が強いのは当然のことで、この学園に由姫に勝てるやつなんて存在しないだろう。

 ……いや、ひとりだけ……わからないやつがいるが、間違いなく由姫の力はトップクラスだ。

 シーンと、由姫の回答に面白いくらいに静まる教室。

 当たり前だ。こんな問題即答できるなんて、どうかしてると思う。

 俺でも10分くらいはかかる。ここにいる他の奴らなんて、解くことすらできないだろう。



「……へ?」



 長い沈黙のあと、教師の間抜けな声が響いた。