「ふっ、かわいそ。こんな問題まだやってないじゃん」
「さすがに性格悪いなあいつ」
後ろから、双子の声が聞こえた。
こいつら、マジであとで締めるか。
海とかいう男は、心配そうに由姫のほうを見ている。
由姫が立ち上がり、教室はますます騒がしくなった。
「やばい、わからなくて困ってるよ」
「かわいそ~」
「あんなん解けるわけないのにね」
うぜぇ……全員物理的に黙らせてやりたい。
でも、俺がそんなことをする必要はないだろ。
黙らせなくても……たぶんこいつら、数秒後には黙ってる。
「E(x2)-μ2です」
すぱっと、そう即答した由姫。
その場にいる誰もが、口を閉ざした。

