総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜



 しかも、気の弱そうな生徒ばかり狙っているらしい。俺は一度も当てられたことがない。

 さらにたちが悪いことに、気に入っている女子生徒も当てないらしい。

 こいつに狙われるのは、害がなさそうな奴。

 黒板に、教科書に書いていないだろう数式を書き出した教師。

 書き終わり、きょろきょろと教室を見渡すふりをしているけど、こいつの考えなんて見え透いていた。

 たぶん、もう当たる奴は決まってる。



「それじゃあ編入生、この問題解いてみろ」



 由姫を見ながら、にやりと笑ったそいつ。

 途端、教室内は安堵と笑い声に包まれた。



「先生、編入生いじめちゃかわいそうじゃん~」



 とくに女子生徒たちが、くすくすと笑っている耳障りな声が聞こえた。

 由姫……さっそく女どもに嫌われたのかも。

 由姫の隣の席に座る海とかいう男。こいつはたしか有名な奴だ。

 双子も顔は悪くないから、ぼちぼち人気なんだろう。

 急に入ってきた地味な編入生が、そんな奴らと仲良くしてたら……性根の腐った女たちは面白くないだろうな。