まさか、氷高にあんな顔をさせられる人間がいるなんて。



「あの女、何者……?」



 弥生の言葉に、俺は「ははっ」と乾いた笑みがこぼした。

 どうしよ。すごい興味が湧いてきた。

 これから……楽しくなりそうだ。

 それにしても……。



『マジで……! 同じクラスとか、運命だなっ……! つーか、その格好は……?』



 その格好って、どういう意味だ……?

 まあ、これから少しずつ知ればいいか。

 気になる存在ができるなんて――彼女以来だ。

 俺の心の奥に棲みついている、彼女の存在。

 この時の俺は、知る由もなかった。

 まさか由姫が――その“彼女”本人だったなんて。


 由姫の存在が、この学園に嵐を巻き起こすことになるなんて――。