引っ越す前、最後に会った時より身長はずいぶんと伸びているし、雰囲気も変わった。

 ていうより、あんな威圧的な拓ちゃんは見たことがなかったから、誰だかわからなかったんだと思う。



「……っ」



 私の言葉に、なぜか拓ちゃんは頰を赤く染めた。

 ……? どうしたんだろう……?



「おいおい……あの編入生氷高拓真と話してるぞ……」

「編入生何者だよ……」

「あんな氷高初めて見た……」



 まわりがすごいものを見るような目で私たちを凝視しているのにも気づかずに、様子のおかしい拓ちゃんを見つめた。



「おーい、拓ちゃん……?」

「……っ、ゆ、由姫、ちょっと外で話そ」

「え? うん、もちろんいいけど……」



 なぜか焦った様子の拓ちゃんに、手を握られる。

 そのまま、強引に教室から連れ出された。