ふふっ、春ちゃんはまだ、私がこの学園にいることを知らない。

 こんなに近くで電話しているなんて、思ってもいないだろうなぁ……。

 びっくりする春ちゃんの顔を想像するだけで、笑顔がこぼれた。

 春ちゃん、喜んでくれるかなっ……。

 早く、会いたいな……。

 春ちゃんとは、もう1年会っていない。

 1年前春ちゃんが九州に来てくれて以来だ。
 春ちゃんは月に一度は私のところへ行くなんて言ってくれたけど、交通費のこともあるし、数年で帰れる予定だったから会うのは控えていた。

 会ったら、離れがたくなっちゃうし……。

 でも、これからは毎日だって会えるんだ。



「私も、春ちゃんの声が聞きたかったよ」

《……かわいいこと言わないで。会いたくなるから》

「ふふっ」



 もうすぐ会えるよ、と言う言葉をのみ込み、代わりに微笑んだ。