「どうしても西園寺学園に行きたいの……ダメ?」

「うっ……!! か、かわいい……!」



 また変ことを言ってるけど、お願いすれば、お父さんはNOとは言えないのを私は知っている。

 昔からお父さんは、私と輝にはこれでもかというくらい甘い。



「し、仕方ない……寂しいけど、由姫のお願いを断るわけにはいかないからな……」



 だばーっと勢いよく涙を流しながら、そう言ってくれたお父さん。



「ありがとう! お父さん大好き!」



 えへへ、お父さんが優しくてよかったっ……。



「ゆ、由姫……! お父さんも大好きだ! ……で、でも、いくつか約束してくれないか?」

「約束?」



 いったいなんの……?

 首をかしげると、お父さんは「ちょっと待ってくれ……!」と言って別の部屋へと走っていった。

 すぐに戻ってきたお父さんが手に持っていたのは……小さな箱。

 お父さんは、それを私の前でパカっと開いた。