「そんな危ないところに、こんなかわいい由姫を入学させるなんて……!」



 お父さんは泣きながら、私を抱きしめてきた。

 って、お父さんってばまたかわいいかわいいって……。それは自分の子供だから思うことで、私にかわいさなんてこれっぽっちもない。

 ひ弱なわけでもないし、かわいいわけがないのに……。



「心配してくれるのはうれしいけど、私は大丈夫だよ!」

「まあ、お姉ちゃんなら誰にも負けないでしょ」



 輝の言葉に、お母さんは頷いてくれたけど、お父さんはまだ不安な様子。



「由姫が強い子なのは十分わかっているが、そうは言ってもなぁ……」



 いったい何が不安なんだろう?

 私は幼い頃から、お父さんにいわれて空手に柔道、護身術も習っていた。

 おかげでお父さん以外に負けたことなんて一度もないし、男の子並みにたくましく育ったと思う。

 心配する必要なんてないだろうし、自分の身くらい自分で守れるよっ……。