だってまさか、舜先輩が私のことを知っているなんて。
でも、最高の女って……。
私はただの平凡女子だし、そんなふうに言われるような人間じゃない。
もしかして、私のことじゃない……?
で、でも、春ちゃんの恋人って……私のことな、はず。
「舜先輩、何か知ってるんですか……?」
「あいつの恋人か? ……俺だけじゃない。サラのことを知らない人間なんか、この学園ではいないだろう」
“サラ”
その呼び方に、確信した。
舜先輩が話しているのは――私のこと、だと。
サラとは、私の通り名だ。
自分でつけたわけではなく、いつの間にかそう呼ばれていた。
ちなみに、fatalのみんなや、暴走族の友達はみんな私のことをそう呼ぶ。
春ちゃんだけ本名を知っているけど、春ちゃんは今も私のことはサラと呼んでいる。
本名を隠していたのは、ある事情があった。
別にたいした事情じゃないけれど、とにかく舜先輩の言う『天王寺春季の恋人』というのは、間違いなく私のことらしい。
でも……。
「知らない人間はいないって……」
どういう、こと?

