総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜



 だってまさか、舜先輩が私のことを知っているなんて。

 でも、最高の女って……。

 私はただの平凡女子だし、そんなふうに言われるような人間じゃない。

 もしかして、私のことじゃない……?

 で、でも、春ちゃんの恋人って……私のことな、はず。



「舜先輩、何か知ってるんですか……?」

「あいつの恋人か? ……俺だけじゃない。サラのことを知らない人間なんか、この学園ではいないだろう」



“サラ”

 その呼び方に、確信した。

 舜先輩が話しているのは――私のこと、だと。

 サラとは、私の通り名だ。

 自分でつけたわけではなく、いつの間にかそう呼ばれていた。

 ちなみに、fatalのみんなや、暴走族の友達はみんな私のことをそう呼ぶ。

 春ちゃんだけ本名を知っているけど、春ちゃんは今も私のことはサラと呼んでいる。

 本名を隠していたのは、ある事情があった。

 別にたいした事情じゃないけれど、とにかく舜先輩の言う『天王寺春季の恋人』というのは、間違いなく私のことらしい。

 でも……。



「知らない人間はいないって……」



 どういう、こと?