「由姫、ちょっと待ってろ」



 ……ん?

 蓮さんは、自分の部屋へと入っていった。

 不思議に思いながら、言われたとおりに蓮さんを待つ。

 少しして、戻ってきた蓮さんの手にはかわいらしい包装の箱が。



「これ」



 差し出されたそれを、反射的に受け取った。



「え……これ、プリンですか?」



 箱の包装に書かれていたのは『pudding』の文字。



「親戚がたまに菓子とか贈ってくんだよ。その中に入ってた。前に好きって言ってただろ?」



 え……。たしかに、言った気がするけど……そんなことを覚えていてくれたんだ……!



「うれしいです……! ありがとうございます!」



 プリンは大好物だから、とってもうれしい。

 喜ぶ私を見て、蓮さんがくすっと笑った。