全身の神経を研ぎ澄ませて、気配を探した。

 ……あ、もういるみたいだ。

 複数人の気配を感じて、間に合ってよかったと胸を撫で下ろす。

 ……さ、急いで片づけて、食堂に向かおう。

 薄暗いから、向こうもはっきりと私の姿は見えていないだろう。

 できるだけ足音を立てて、“現れた”と気づかせる。

 身長でバレないように、木箱のようなものを伝いながら歩いた。

 向こうが、こっちに気づいたのが手に取るようにわかる。

 隠れているつもりだろうけど、バレバレだ。

 目を瞑って、神経を尖らせた。



「……行け、お前ら!!」



 その声を合図に、一斉に6人の気配が飛んできた。

 目を瞑ったまま、相手が私に近づくのを待つ。

 ――今だ。

 その場にしゃがみ込むと、相手が相打ちをする形でぶつかった。

 そして、ダメージを受けているその一瞬の隙に、的確に拳を入れる。

 両手両足を使って、まずは4人の急所を突いた。

 倒れたのを確認し、残りのふたりに構える。