「うん! もちろん!」

「でも……」



 言いよどんだお母さんに変わり、お父さんが口を開いた。



「どうしてよりにもよって西園寺学園なんだ……あそこは男子比が多い上に全寮制なんだぞ……! お父さん、寂しいっ……」

「え、ええっ……泣かないでよお父さん……!」



 めそめそと涙を流すお父さんの背中をさすって、苦笑いを浮かべる。

 そう。私は明後日から、西園寺学園という高校へ編入し、寮生活を送ることになっている。



「西園寺学園なんて、そりゃあ有名な進学校だが……ここらじゃ有名な暴走族の巣窟らしいじゃないか……!」

「たしかに、俺も姉さんがあの高校に行くのは反対だな……」



 お父さんと輝の言葉に、あははと乾いた笑みがこぼれた。

 たしかに、お父さんが言うことは間違っていない。

 私の通うことになる西園寺学園は、表……つまり公には県内トップの進学校だけど、じつは、いわゆる『不良』と呼ばれる生徒が多いのも事実だ。

 裏では、『暴走族の監獄』なんて言われているらしい。