近寄るのすらおこがましいという空気を感じて、蓮さんは何者なんだろうと不思議に思った。
しかも、等の本人は視線にまったく気づいてなさそう……というか、無関心みたいだ。
こんなに見られていて気にしてないなんて、きっと注目されるのが当たり前なんだろうな。
私がカゴを持とうとすると、蓮さんが横からそれを奪ってきた。
「俺が持つ」
「え……大丈夫ですよ」
「いいから。どれ買うんだよ」
さらっとカゴ持ちをしてくれるなんて、優しいな。
お言葉に甘えてカゴを持ってもらい、買い物を進めた。
「金は俺が出すから」
レジに並んでいる間、さらっと財布を出そうとする蓮さんを慌てて止めた。
「ダメです! 蓮さんにはこの前いただいたお札があるので! ちゃんとそこから出しますっ」
そう言うと、なぜか驚いた表情を浮かべたあと、うれしそうに笑った蓮さん。

