――白咲、由姫。







「おいクソカス双子!!」



 離れたところから、邪魔者の声がした。

 激怒している氷高を、いつものように由姫がなだめている。



「……ちっ。由姫、戻ろ」

「うん! 弥生くんと華生くんも戻ろうっ」



 氷高に手を引かれ、先に体育館へ戻っていった由姫。

 俺たちは少しの間、ぼうっとその後ろ姿を見つめた。



「……なあ、かよ」



 俺が考えてること、お前ならわかるよな?



「由姫……俺たちのにしよう」



 そう言うと、かよは俺とそっくりな顔で、うれしそうに微笑んだ。



「うん、俺も同じこと考えてた」



 ……ふっ、さすが双子。

 誰かに見てもらえることが、こんなうれしいことなんて知らなかった。

 それを教えてくれたのは、まぐれもなく由姫だ。

 そんな存在に出会ってしまったら、手に入れずにはいられない。

 氷高も露骨に由姫が好きみたいだから、奪うのは難しそうだけど……絶対諦めない。




 他の何を譲っても、由姫だけは譲りたくないと思った。




 俺たちに、唯一が見つかった瞬間。