「ありがとう。そう言ってもらえて安心したよ。ちなみに、男子寮だと言うことは黙っていてもらえないだろうか? さすがに女の子を男子寮に入れるだなんて、メディアにでも流れたら大問題だからね、ハハッ」



 そう言って笑う理事長に、本当にこの人は理事長なのかな……と、一瞬疑問に思ったのは心の中に留めておこう。



「東、お前も内密にしててくれよ」

「俺がそんなことすると思いますか?」

「ハハッ、そうだな。お前のことは信頼しているよ。親子揃ってね」



 さっきまで黙って話を聞いていた舜先輩が、呆れたようにため息をついた。

 なんだか、舜先輩って苦労人そう……。



「おっとすまない。無駄話がすぎたよ。それじゃあ、粗方の説明は終わりだ。何か質問はあるかい?」

「いえ、ありません」

「そうか。それじゃあ東に部屋まで案内させるね。キミが素敵な学園生活を送れるように祈っているよ」

「ありがとうございます」



 席を立ち、理事長に頭を下げる。






「東、頼んだよ」

「はい。……行こうか、由姫」



 首を縦に振って、舜先輩に「はい」と返事をした。



「お? 珍しいな、東が女の子を名前で呼ぶなんて」

「そんなことないですよ。余計なこと言わないでください理事長」



 ……?

 少しだけ焦った様子を見せた舜先輩を不思議に思いながら、その後ろをついていく。